「せっかく費用をかけてホームページを作ったのに、保健所から医療広告ガイドライン違反の指導を受けてしまった」「制作会社がガイドラインを理解しておらず、公開後に大幅な修正が必要になった」
医療広告ガイドラインは、多くの院長先生が軽視しがちですが、違反すると行政指導の対象となり、最悪の場合は業務停止命令まで出される可能性がある重要な法的規制です。
特に訪問診療クリニックは、患者さんに配慮した表現が求められ、一般的なクリニック以上に厳しい基準が適用される傾向があります。しかし、適切な知識があれば決して難しいものではありません。
- 2025年最新の医療広告ガイドラインの要点を理解できる
- 訪問診療クリニック特有の注意点が分かる
- 違反事例と正しい表現例を具体的に学べる
- 制作会社選びで確認すべきポイントが明確になる
- 行政指導のリスクを回避できる
なお、医療広告ガイドライン以外にも、訪問診療クリニックのホームページ制作では重要なポイントが多数あります。包括的な制作戦略については、こちらの記事もご参考ください
訪問診療クリニックのホームページ制作で集患を成功させる方法|地方特化・予算30-80万円 >>
医療広告ガイドラインの基本知識
医療広告ガイドラインとは
医療広告ガイドラインとは、厚生労働省が定めた医療機関の広告に関する法的規制です。多くの院長先生が誤解されているのですが、ホームページも「広告」として扱われるため、このガイドラインの適用対象となります。
従来は新聞や雑誌などの「広告」のみが規制対象でしたが、2018年の医療法改正により、ホームページやSNSなども規制の対象に含まれるようになりました。
自由診療における注意事項 訪問診療では、保険診療が基本ですが、特別交通費や保険外サービスなど自由診療に該当する部分もあります。自由診療については、医療広告ガイドラインの規制がより厳格に適用されるため、特に慎重な表現が求められます。具体的には
- 料金表示時の詳細な条件明記が必須
- リスク・副作用の記載義務
- 治療期間や回数の明確化
違反した場合の罰則
- 指導・勧告:保健所からの改善指導
- 公表:違反内容と医療機関名の公開
- 命令:広告の停止命令
- 罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
実際に、2023年には全国で200件以上の指導が行われており、そのうち約30%がホームページでの違反でした。
2025年の最新改正ポイント
2023年4月に医療広告ガイドラインの一部が改正され、特に以下の点が厳格化されました。
患者の体験談規制の強化
改正により「治療効果を暗示する表現」も禁止となりました。
- 改正前:「痛みが和らぎました」→ 掲載可能
- 改正後:「痛みが和らぎました」→ 違反の可能性
ビフォーアフター写真の完全禁止
治療前後の写真や検査データの比較は、いかなる場合も掲載禁止となりました。
料金表示ルールの明確化
料金表示時は「総額」「治療期間」「リスク・副作用」をセットで記載することが義務化されました。
訪問診療クリニックが特に注意すべき理由
患者の脆弱性への配慮
訪問診療を利用する患者さんは重篤な疾患を抱えており、正常な判断力が低下している可能性があります。そのため、誤解を招く表現はより厳格に規制されます。
情報格差の問題
外来診療と異なり、患者さんが複数のクリニックを比較することが困難なため、一方的な情報に依存せざるを得ません。
監視強化の背景
超高齢社会の進展により訪問診療の需要が急増している一方で、悪質な事業者による問題も増加しており、行政による監視が厳しくなっています。
よくある違反パターンと適切な表現例
優位性・No.1表現の違反
最も多い違反パターンがこの優位性表現です。
❌ 違反例
- 「地域No.1の訪問診療」
- 「最高品質の在宅医療」
- 「業界トップクラスの医師」
⭕ 適切な表現例
- 「地域に根ざした訪問診療」
- 「質の高い在宅医療を目指して」
- 「豊富な経験を持つ医師」
治療効果の断定的表現
❌ 違反例
- 「必ず症状が改善します」
- 「痛みを確実に取り除きます」
- 「安らかな最期を約束します」
⭕ 適切な表現例
- 「症状の改善を目指します」
- 「痛みの軽減に努めます」
- 「患者さんとご家族に寄り添います」
患者の声での不適切な内容
2023年の改正で特に厳格化された患者の声。治療効果を「暗示」する内容も違反とされます。
❌ 違反例
- 「病気の症状が楽になりました」
- 「他の病院では改善しなかったのに、こちらで良くなりました」
- 「薬の量が減りました」
⭕ 適切な表現例
- 「先生が親身に話を聞いてくださいます」
- 「スタッフの皆さんがとても親切です」
- 「安心して治療を受けることができます」
費用表示での誤解を招く表現
❌ 違反例
- 「格安料金で訪問診療」
- 「他院より安い料金設定」
- 「月額○円から」(詳細条件なし)
⭕ 適切な表現例
- 「訪問診療料:2,500円(1割負担の場合)」
- 「月2回訪問の場合の概算費用」
- 「保険適用範囲と自己負担額の詳細」
ホームページ制作時の実務的確認ポイント
制作フェーズ別チェックポイント
企画・構成段階
- メインキャッチコピーに優位性表現がないか
- 患者の声で治療効果を暗示する内容がないか
- 料金表示に必要な情報が全て含まれているか
原稿作成段階
- 断定的な表現(必ず、確実に、約束など)の排除
- 院長プロフィールでの客観的事実の確認
- サービス説明での誇大表現のチェック
デザイン・制作段階
- Before/After写真の掲載防止
- 料金表示での見やすさと正確性の確保
- 緊急対応アピールでの過度な表現回避
公開前最終チェック
- 全ページでの表現統一性確認
- 外部リンク先の内容チェック
- お問い合わせフォームでの適切な文言確認
実際の指導事例と改善プロセス
指導を受けた実例
事例:地方の訪問診療クリニック
- 違反内容:「地域で最も信頼されるクリニック」「必ず症状が改善」
- 指導機関:都道府県保健所
- 対応期間:指導から修正完了まで2週間
改善プロセス
- 保健所からの指導書面受領
- 違反箇所の特定と修正案作成
- 制作会社との修正作業
- 修正完了報告書の提出
改善後の効果 適切な表現への変更により、患者さんからの信頼度が向上し、長期的には問い合わせ数も増加しました。
⚠️ こんな状況の院長先生はすぐにご相談ください
- 現在のサイトがガイドラインに適合しているか不安
- 制作会社からガイドラインについて何も説明がなかった
- 他院と似たような表現を使っている
医療広告ガイドライン違反は、発覚してからでは修正に時間と費用がかかります。予防的なチェックで、リスクを未然に防ぎましょう。
[ガイドライン適合性を無料で確認する]
なお、ガイドライン対応を含めた訪問診療クリニックの総合的なホームページ戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。
予算30万円で訪問診療クリニックのホームページを制作する完全ガイド >>
適切な表現への言い換え実用例
サービス内容の表現
避けるべき表現 | 適切な表現 |
---|---|
最高の訪問診療 | 質の高い訪問診療を目指して |
完全サポート | 充実したサポート体制 |
絶対安心 | 安心していただけるよう努めます |
治療効果・実績の表現
避けるべき表現 | 適切な表現 |
---|---|
必ず改善 | 改善を目指します |
完治可能 | 適切な治療を提供 |
他院で治らない症例も | 幅広い症例に対応 |
制作会社との連携で守るべきポイント
契約時の取り決め
ガイドライン遵守の責任分担
- 制作会社:技術的な実装とチェック体制
- クリニック:医療内容の正確性と表現の妥当性
- 共同責任:ガイドライン改正時の対応
違反時の修正費用負担
制作会社の知識不足による違反の場合は、修正費用を制作会社が負担することを事前に取り決めておきましょう。
制作プロセスでの確認体制
原稿作成時のチェック
- 医療広告ガイドライン準拠チェックリストの活用
- 院長先生による医療内容の正確性確認
- 制作会社による表現の適切性確認
公開前の最終チェック
- 全ページでのガイドライン適合性確認
- 第三者による客観的チェック
- 必要に応じた法務相談
運用開始後のメンテナンス
定期的なガイドライン適合性チェック
- 年2回の定期チェック実施
- 新しいコンテンツ追加時の事前確認
- 患者の声更新時の慎重な表現チェック
法改正時の対応体制
- ガイドライン改正情報の迅速な共有
- 必要に応じた修正作業の実施
- 改正内容に応じた運用ルールの見直し
医療広告ガイドライン対応も含めた総合的な制作戦略について
ガイドライン遵守はホームページ制作の一部に過ぎません。訪問診療クリニックが成果を上げるための包括的な制作戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています:
訪問診療クリニックのホームページ制作で集患を成功させる方法|地方特化・予算30-80万円 >>
実際のガイドライン対応でお困りの院長先生へ
理論は理解できても、実際の制作時にどう適用すれば良いか分からない場合があります。MRSでは、具体的なサイト内容について、ガイドライン適合性を個別にアドバイスしています。
- 現在のサイトの問題点特定
- 適切な表現への修正提案
- 制作会社との連携サポート
よくある質問と回答
Q1:他のクリニックと同じような表現なら問題ないですか?
A:他院の表現を参考にするのは危険です。その表現が適切かどうかは別問題であり、万が一違反していた場合、同様の処分を受ける可能性があります。
Q2:患者さんからの感想をそのまま掲載してもよいですか?
A:患者さんの感想でも、治療効果を暗示する内容は掲載できません。掲載前に必ずガイドラインに照らした確認が必要です。
Q3:SNSでの投稿も医療広告ガイドラインの対象になりますか?
A:はい、クリニックの公式SNSアカウントでの投稿も広告とみなされ、ガイドラインの対象となります。
Q4:違反してしまった場合、どのような処分がありますか?
A:まず保健所からの指導・勧告があり、改善されない場合は医療機関名の公表、最終的には業務停止命令や罰則が科される可能性があります。
Q5:ガイドラインに適合しているか不安な場合、どこに相談すればよいですか?
A:まずは所轄の保健所に相談することをおすすめします。また、医療広告ガイドラインに詳しい制作会社に相談することも有効です。MRSでは、ガイドライン適合性の無料診断も行っています。
ガイドライン対応でお困りの場合
「記事を読んだけれど、自院のケースではどう判断すれば良いか分からない」という院長先生も多くいらっしゃいます。そのような場合は、個別のご相談をおすすめします。
適切な表現で患者に選ばれるクリニックに
医療広告ガイドライン遵守の3つの重要ポイント
1. ガイドライン遵守は患者への誠実さの表れ
適切な表現を心がけることは、患者さんとそのご家族への誠実な姿勢を示すことでもあります。誇大な表現に頼らず、実際のサービス内容で勝負することが、長期的な信頼関係構築につながります。
2. 適切な表現でも十分に魅力は伝えられる
ガイドラインを守ったからといって、クリニックの魅力が伝わらなくなるわけではありません。むしろ、事実に基づいた適切な表現の方が、患者さんに安心感を与え、信頼を得やすくなります。
3. 制作会社との連携で継続的な適合性を維持
医療広告ガイドラインは定期的に改正されるため、制作会社との継続的な連携により、常に最新の基準に適合した状態を維持することが重要です。
最後に
医療広告ガイドラインは、決して「表現を制限するもの」ではなく、「患者さんを守るためのルール」です。適切な知識を持って対応すれば、ガイドラインを遵守しながらも効果的なホームページを制作することは十分可能です。
重要なのは、最初から正しい知識を持った制作会社と組むことです。違反してから修正するよりも、最初から適切に制作する方が、時間的にも費用的にも効率的です。
医療広告ガイドライン対応のホームページ制作をお考えの院長先生へ
MRSでは、医療広告ガイドラインを完全に理解した上で、訪問診療クリニック専門のホームページ制作を行っています。ガイドライン遵守はもちろん、集患効果も両立させた戦略的なサイト制作をご提案いたします。
本記事は、厚生労働省が定める医療広告ガイドラインをもとに執筆しています。詳しい原文はこちらをご確認ください: